top of page

【コラム】結婚指輪で選ばれている金属は?実際に選ばれた方の理由と、金属の特徴もご紹介します。

こんにちは。

アトリエジェムカフェの佐藤宏太です。


本日は、結婚指輪を選ぶ時に気になるポイントの1つ、

「金属」についてご紹介します。



【結婚指輪に使う金属について】


結婚指輪用の金属は大きく分けて2種類。「ゴールド」(金)と「プラチナ」です。 当店で人気の素材は「プラチナ」。 およそ90%以上の方がプラチナを選んでいます。


プラチナを選んだ理由をお伺いすると、

「変色しないから」(30代女性)

「昔からのあこがれだったから」(20代女性)

「指に馴染む色であまり目立たない」(30代男性)

という事で、いつでも結婚指輪を着けていたい方、実用性を重視する方、指輪が目立たない方が良い、という方にプラチナが選ばれています。

また金(ゴールド)で選んだ理由をお伺いすると、

「個性的な指輪が好きだから」(30代女性)

「他人と被らないリングを作りたいと思いました」(20代女性)

という事で、自分たちだけの個性的な指輪を選びたい方に、ゴールドが選ばれています。


確かに、プラチナは変色することがありません。温泉に入っても品質に全く影響はないので、特に温泉に入る機会の多い山形の方には、プラチナがおすすめですね。


【それぞれの特徴】


結婚指輪に使われている金属別(プラチナとゴールド)に特徴をまとめました。

変色

強度

修理

デザイン性

費用

 プラチナ (Pt900)

  ○    変色無し

   △    変形しやすい

鍛造プラチナ(Pt900)

  ○    変色無し

ゴールド (K18)

   △    変色有

ピンクゴールド(K18PG)

   △    変色有

ホワイトゴールド(K18WG)

   ×     比較的早く変色

×


なお、各項目の英語と数字の組み合わせはジュエリー素材の品位を示しています。

細かい事で恐縮ですが・・・例えばPt900だと、Pt=プラチナ、900=全体のうち90%がプラチナ、という意味を表しています。


特徴毎に、詳しくご紹介していきます。





【A.変色について】


金属の特徴として、プラチナは変色しません。汗や化粧品、レモンの汁がついても大丈夫ですし、温泉に入っても問題ありません。山形の、酸がつよい事で有名な蔵王の硫黄泉に浸けても大丈夫です。


ゴールド(K18)は変色します。細かい話になりますが、結婚指輪に使う金はK18といって純粋な金ではなく、全体の75%が金、残りの25%は銀、銅、パラジウムという金属が混ざっています。


この銀やパラジウムは変色しやすい金属でして、毎日着けていると汗や化粧品等と反応し、赤色が出てきます。本来の美しい光沢から、ややくすんだようになります。


ホワイトゴールド(K18WG)に関しては、地金の色は「黄色味のある白」の状態ですが、仕上げの段階で表面に白いコーティング(ロジウムメッキ)をかけます。お客様が店頭でご覧になっているホワイトゴールドは、金属本来の色ではなくコーティングの色です。


コーティングなので、着けていると少しずつ剝がれて、本来の黄色が見えてきます。これはこれで風合いがあって良いのですが、プラチナのような白色ではありませんので、結婚指輪でホワイトゴールドを選ぶ時は色が変わる事も知った上で、お選び頂くべきです。





【B.強度について】


強度とは、変形しやすさです。

金属の硬さを示す指標の1つに「ビッカース硬度」(Hv)というものがあります。

この指標で測定すると、プラチナ(Pt900)は60~130Hv、K18は120~220Hvと、2倍近く差があります。(ビッカース硬度の実数は、ジュエリーコーディネーター検定3級テキストより、引用しております)


実際に、当店では結婚指輪の修理も多数承りますが、プラチナのリングが変形しているケースを多々見ております。変形の理由はぶつけてしまったり落としてしまったりと様々ですが、ゴールドと比較するとプラチナは比較的変形しやすい金属だ、というのは実感しております。


ただ、この硬度に関しては、指輪の製法を変える事で、プラチナもゴールド以上に硬くすることができます。その製法を「鍛造製法」と言います。


鍛造製法とは、ジュエリー作りで一般的な「鋳造製法」と違い、金属を叩いて整形する方法です。古くは刀を製作する際に用いられてきた方法で、金属を叩く事で組織を緻密にし、硬度を上げて製作します。


鍛造製法で作られたプラチナはおおむねピッカース硬度が170Hv以上と硬くなりますので、プラチナで変形しにくい結婚指輪や婚約指輪を選びたい方は、この鍛造製法で作る事をおすすめします。


一般的なジュエリー店では、職人が一から手作業で作る鍛造製法は時間やコストがかかるため採用していないところも多いですが、当店では基本的に鍛造製法で、指輪をお仕立てしております。





【C.修理について】

指は年齢と共にサイズが変わるので、結婚指輪や婚約指輪が指とサイズが合わなくなることも多いです。そんな時に気になるのが、サイズ直しなど修理加工ができるかどうか。


基本的には、金もプラチナも修理は可能です。ただ、ピンクゴールドは、素材の特性として柔軟性に欠けており、大幅なサイズ直しが難しい場合があります。



プラチナリングのサイズ直し加工を行っている様子



【D.デザイン性】

デザイン性とは、どのようなデザインで指輪を製作できるかを表しています。


金属による差はないのですが、先ほど強度のところでご紹介した「鍛造製法」で製作すると、製作が難しいデザインがあります。特にダイヤモンドが連なる「エタニティリング」などは鍛造製法では作れなかったりします。





【E.費用】


指輪の価格は

1.使用する金属の量

2.金属を加工する費用

3.使用する宝石の価格

で決まります。


金やプラチナは、毎日価格が相場変わる変動相場制。

この記事を書いている2023年8月現在、金(K18)は¥7,400/1g、プラチナ(Pt900)は¥5,000/1gとなっており、現在は、金はプラチナより高い状態です。


指輪の値段について厳密には、同じサイズの指輪を作る場合でも比重の違いでプラチナの方が金よりも量を多く必要ですし、加工費もプラチナの方が高いのですが、そういった部分を差し引いても、金とプラチナで比較すると、プラチナの方が費用はかかりません。


なお、ホワイトゴールド(K18WG)については、金に「パラジウム」という金属を混ぜて作りますが、近年パラジウムが値上がりしており、現在¥8,000/1gと高額です。




【まとめ】


今回は結婚指輪に使われている金属とその特徴について、ご紹介させて頂きました。

当店のお客様は90%以上の方がプラチナを選ばれています。金と比べて費用も安く、変色せずサイズ直しなど修理もしやすい実用性の高さからも、プラチナはおすすめです。


変形しやすい事が気になる方には、強度が上がる鍛造製法でのお仕立てがおすすめです。


個性的な指輪、他の方と被らないオンリーワンの指輪をお探しの場合は、ゴールドがおすすめです。

Comments


bottom of page